第三者への呼びかけという新たな視点で
電車内・駅構内では、日常的に痴漢防止のポスターを見かけます。それだけで痴漢被害の深刻さを物語っていますが、その内容は「通路側の席に座りましょう」「肌の露出を控えましょう」といった、往々にして被害者側に注意を求める内容のものです。
そこで、京都女子大学の学生5人が、京阪電車と連携して新たな視点のポスターを制作。その場に居合わせた第三者が介入することで被害に寄り添う、というコンセプトで作られています。
■「車内・駅構内での性暴力を止める行動があることを知ってほしい」 学生5名(文学部1名、現代社会学部1名、家政学部1名、法学部2名)が新しい視点からポスターを作成しました(京都女子大学)
■2022年度 連携プロジェクト補助事業(京都女子大学地域連携研究センター)
ポスターとスマホの画面で
作成意図について、以下のPDFでまとめられています。
■『痴漢・盗撮を目撃した時、私達にできること』(PDF)
ポスターで伝えたいこと、痴漢・盗撮に第三者が介入する方法のほか、被害にあった場合の相談窓口情報のほか、WRCJが公開している男性相談窓口の情報まとめページ「男の生きづらさに応える男性相談窓口一覧」が紹介されています。
■男の生きづらさに応える男性相談窓口一覧(WRCJ)
多くの男性は加害者ではないが…
痴漢や盗撮の加害者は多くが男性で、また同時に女性に比べて被害にあうことが少ないとされています。一方でほとんどの男性は加害者ではないことから、第三者の自分には無関係と思いがちです。
しかし、私たちの身近にいる親しい女性たち、例えば娘、母、姉妹、恋人、友人、同僚などが、深刻な被害にあう可能性は大いにあり得ます。
また何より、男性が被害者となる場合もあります。その意味で、多くの男性は無関係とは言えないのではないでしょうか。
とはいえ、何をしたらいいかわからない方も多いはず。「勘違いかも」「止めたくてもどう対処すればいいかわからない」といった葛藤を感じます。ただその葛藤や悩みのまま何もしなければ、被害に沈黙したことになりかねません。
介入したとしても被害が軽減されたり被害者が救済されたりするわけでは必ずしもありません。しかし加害を可視化しNOを表現することにはつながります。
まずはこうした取り組みに関心を持ち、被害に寄り添うということから始めてみてはいかがでしょうか。
松田アキノリ(WRCJ事務局)