暴力を選ばない、男たちのアクション ~ ホワイトリボンキャンペーンとは

“無関係な”男性たちが、主体となって

暴力を「振るわない」「許さない」「沈黙しない」─。

性暴力、DV、さまざまなハラスメント…暴力をなくしていくカギのひとつ、それは暴力を振るわない大多数の人たち、とりわけこの問題に「無関係だ」と考えがちな男性たちが、主体的に解決へ向け行動することだと考えています。

そうした取り組みのひとつが1991年、カナダで始まった「ホワイトリボンキャンペーン(WRC)」。男性が主体となって女性に対する暴力撲滅に取り組む世界最大のキャンペーンで、50カ国以上に広がっています。

日本では2012年に神戸で始まり、2016年4月には「一般社団法人ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン(WRCJ)」が設立されました。

暴力に沈黙せず、対等な相手として尊重する「フェアメン」を増やすべく、全国各地へアクションを広げていきます。WRCJとともに、暴力のない世界を目指しませんか。

モントリオール理工科大学虐殺事件 – ホワイトリボンキャンペーンの発祥

ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン

事件の慰霊碑(Wikipediaより)

ホワイトリボンキャンペーンが始まった背景に、ある痛ましい事件があります。いわゆる「モントリオール理工科大学虐殺事件( Wikipedia )」です。

1989年12月6日、同大にライフル銃とナイフを持った25歳の男が侵入、女性の権利拡張への反対を叫びながら、女子学生ばかり14人を殺害し、自殺を図りました。

事件の1年後に公開された男の遺書めいた手記には、自分の人生がうまくいかなかった原因を女性の権利拡張に求め、その論者である女性たちを逆恨みする内容が書かれていました。

この事件は、カナダ国内に大きなショックを与え、また女性に対する暴力とその背景を女性蔑視の深刻さを、世界中に知らしめることになりました。事件の2年後、カナダの国会は12月6日を、女性に対する暴力に関する追悼と行動のための国家的記念日にすることを宣言しました。

1991年の晩夏、この事件を重く受け止めたカナダの3人の男性、マイケル・カウフマン(Michael Kaufman)、ジャック・レイトン(Jack Layton)、ロン・スルーザー(Lon Sluser)は、「自分たち男性には、女性に対する暴力に反対の声を上げる責任がある」との思いから、アクションを起こすことを思い立ちました。

そして同年11月下旬、彼らはカナダ各地の何人かの男性賛同者とともに、カウフマンが起草した「WRC基本原則の声明」を掲げました。カナダ全国で約10万人もの男性が賛同、女性への暴力をなくすための議論を始めました。

これをきっかけに、11月25日(国連「女性に対する暴力撲滅の国際デー」)から事件の日付の12月6日までの期間、ホワイトリボンキャンペーンが行われるようになりました。