男と女の対等な関係、人間と人間の共生、人間と自然との調和のためには、
男性たちは、暴力から脱出する必要がある。
暴力から男性を、そして女性を解放するために、
心ある男性たちとそれを支援しようと思う女性たちのネットワークとして、
私たちは、ホワイトリボンキャンペーン・ジャパンを結成する。
人類の歴史は、暴力の歴史だという人がいる。
確かに、殺人や暴行、略奪やレイプは、人間の歴史にはつきものだった。
しかし、逆に、人間の歴史は、「脱暴力」への長い道程だったともいえるのはないか。
理性やヒューマニズム、人権の精神と平和主義は、暴力を否定し続けてきたからだ。
文化や文明は、暴力を忌避し、他者との共存、自然との共生を生みつつある。
そして、やっと今、人間は、脱暴力の入り口にたどりつきつつあるように思う。
なかでも男性の女性に対する暴力の撤廃は緊急の課題だ。
1993年、国連は、「女性に対する暴力撤廃宣言」を発表した。
持続する性差別の背景には女性への暴力が控えていると人間はやっと気付いたのだ。
人を傷つける暴力は、身体的暴力に限らない。
言葉の暴力や心理的・精神的暴力もまた、出口のない苦痛を生み出す。
人間関係を遮断する社会的暴力は、自由な行動を奪う。
女性に対する暴力の加害者の多くは男性である。
女性に対する暴力の撤廃のためには、
男性たちが、自分自身の課題として暴力に向き合う必要がある。
女性に対する暴力の背景には、人を支配し、コントロールしたいという思いがある。
同時に、男性の女性に対する暴力には、女性に対する根本的な依存心が潜んでいる。
女性に対する暴力を通じて、傷ついた自分の心の癒やしを求める男性さえいるからだ。
「感情を抑制しよう」「怒りを捨てよう」と言っているのではない。
男性たちはむしろ自分たちが押しつぶしてきた感情を取り戻す必要がある。
また、不正義や欺瞞、差別や抑圧に対して怒りを抱くことは人間として自然なことだ。
問題は、この怒りを「暴力」に向かわせないということだ。
暴力という形ではなく、感情を表現する力、怒りを正義と公正に向けて組織する力を
私たちは身につけようと思う。
暴力によって支配することも、また、支配されることもない社会をめざして。
(2015年12月5日のWRCJ設立の宣言と同時に参加者一同によって承認されました)