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ワークライフバランスを意識した生活者としての父親像を~男性による育児のあり方についてWRCJ学習会を開催しました | ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン

いま求められる父親の育児のあり方と支援|ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン

2020年11月13日、運営メンバーでのオンライン学習会「いま求められる父親の育児のあり方と支援」を開催しました。

いま求められる父親の育児のあり方と支援|ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン

大阪教育大学准教授でNPO法人ファザーリング・ジャパンの顧問を務めている小崎恭弘さんに、「いま求められる父親の育児のあり方と支援」というタイトルでご講演いただきました。

男の子3人の父親であり、男性保育士のキャリアをもっていらっしゃる小崎さんは、当事者かつ研究者という立場から、ユーモアと気付きを交えてご講演いただきました。

家族が揺らぐ中で父親になる難しさ

家族の定義が曖昧になり、晩婚・未婚・非婚とトレンドが変化、1年に成婚したカップルの36%は離婚を経験する。このような現代の家族の揺らぎの中で、子どもを育て家族を維持する「真の父親」になることは一層難しくなっています。

家族の揺らぎに直面し、当事者の動きと制度の改正の両方が、父親のあり方を問い直しているのが昨今の状況です。

たとえば、小崎さんが参与されるある自治体のパパスクールでは、毎回30人が参加し盛況。育てる側の不安を抑えつつ、夫婦間のパワーバランスの調整を図る─。当事者の切なる願いが父親コミュニティの盛り上がりに見られると指摘します。

適切に家庭で暮らせるような男性の家庭進出推進を

行政側でも2010年代のイクメンブーム、厚生労働省主導のイクメンプロジェクトを経て、2019年12月成立の成育基本法における「保護者の責務等」の項目には、保護者という文言があり、少子高齢化・男女共同参画社会を支える制度づくりの視点から、父親の育児に目が向けられつつあります。

小崎さんは、これらの動きより速い速度で女性活躍推進がうたわれていることを踏まえ、女性活躍推進と男性の家庭進出は表裏一体だと指摘。

過度の長時間労働や家事時間が短さで特徴付けられる日本の父親が、適切に家庭で暮らせるような家庭・子育て文化の構築が必要と訴えました。

女性活躍推進法を「男性の家庭進出推進法」と書き換えれば、どれだけスムーズかつピースフルに男女共同参画社会に前進していけることでしょう!一同、感心しながら拝聴しました。

ワークライフバランスの意識した生活者に~父親にとっての4つの目標

また小崎さんが従事する父親支援については、「父親が親としての本来の力が発揮できるようにするための、かかわり方や環境の整備の総称」と位置づけ、達成すべき目標として4つの価値を上げています。

  • 子育てについて正しく学べるよう父親を「エンパワーメント」すること
  • 父親が母親との「パートナーシップ」について理解し、夫婦とも子育てができること
  • 父親が「ワークライフバランス」を意識した生活者になること
  • 父親が育児や家庭生活の主人公になれるよう、地域社会に対し関わりや「ネットワーク」に加わること

これまでの子育て支援には、父親の参加を促す動きに乏しかったため、このシフトは可能性に満ちています。父親の変化がこれまでの固定化・形骸化した社会システムに変化につながる、そんな期待を感じ示唆に富む講演でした。

当日のスライド

※当日の全編動画(ZOOM録画)は会員向けの限定サービスとなります。

文:今村光一郎(WRCJ事務局)
編集・構成:松田明功(同事務局 / スタジオ・ボウズ

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